Web3のデータサイエンティストは超高給!?求人まとめと平均給与を徹底解説

データサイエンティストの給与相場は基本的には高いですが、Web3業界ではどうなのでしょうか?本記事では世界中で展開されているWeb3におけるデータサイエンティストの求人についてまとめ、現役のデータサイエンティストやデータサイエンティストを目指したい方に明るい未来を提示していこうと思っています。

本記事では、データサイエンティストの給与や市場価値から入り、具体的な給与水準からWeb3での給与水準、求められるスキルについて整理していきます。データサイエンティストの方には自明な内容が前半には含まれていますので、中盤から読み始めることをお勧めします。

なぜデータサイエンティストの給与は高いのか?

まずは、データサイエンティストの給与水準は基本的には高いですが、具体的な数字の前になぜデータサイエンティストの給与が高まっているのかを整理します。

給与が上がる理由の大きな要因は2つあります(もちろん他にもたくさんあります)。ここれはとてもシンプルな要因として「需要に対して供給が少ない」から、もう1点は「データサイエンスがもたらす利益が大きい」という点を紹介します。1つずつ事例を用いて紹介します。

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需要に追いついていないデータサイエンティスト人材

データサイエンティストの給与が高くなっていくのは、「需要が供給を上回っているから」です。これは世の中の常ですが、需要が供給を上回っている時に価格は上昇する傾向があります。データサイエンティスト人材の獲得はまさに、この状況です。

データサイエンティストの求人数は、2017年から2019年にかけて7倍以上に増えている傾向が報告されています。

出展:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00037/00034/

これだけ市場での需要が増加しているということになります。しかし、データサイエンティストには「ビジネス力(経営、仮説出しなど)」「データサイエンス力(統計、AIエンジニアリングなど)」「データエンジニア力(データベース構築など)」が必要になります。これらのバランスをとりつつ、どこかの能力に強みをもって仕事をすることが多いです。

需要が2年間で8倍になった背景で、上記の能力が必要となるデータサイエンティスト人材が市場に8倍も現れるでしょうか?なかなか現実的には厳しい数字ですね。

もう少し最近の数字まで見ていきましょう。dodaの調査によると、2021年12月から2022年5月までにかけても、求人件数が上昇傾向にあることがわかります。(下の図は2021年12月を1とした時に増加率)

doda
ITエンジニア中途採用マーケットレポート(2022年6月発行)|doda中途採用をお考えの法人様へ 【2022年6月度発行版】ITエンジニア中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、ITエンジニア職の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめ...

月毎に求人数が増加している中で、登録者数も増加している傾向があり、需要に対して求職者の増加も見られているわけですが、まだ需要には満たない状況が続いています。

大学などの学部や授業でもデータサイエンスの素養を磨く試みが実施されつつあり、社会全体でデータに対応できる人材が増えている中でも、今もなお人材不足が続いているのがデータサイエンス業界の現状になります。

データサイエンスがもたらす利益が大きい

データサイエンティストの給与が高くなる要因のもう1点は、「データサイエンティストがもたらす利益が大きい」からです。データサイエンティストの獲得、雇用のために高いお金を払うことは、事業に対して高い利益をもたらすことが期待されていることを著しているといってもいいのです。

ピンとこない方もいると思うので、事例を用いて紹介します。アスクルという業務用ECサイトが運営しているLOHACOという個人向けサービスがありますが、そこでのカスタマーサポートでのデータサイエンティストの活躍が注目です。

https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/57706

LOHACOでは日々大量に寄せられるカスタマーサポートへの意見を抽出し、AIチャット「マナミさん」を構築しました。カスタマーサポートのデータを整理し、AIを作り上げ、サービス実装までをする仕事こそまさデータサイエンティストの活躍の場です。これによって問い合わせ対応の効率化及び省人化を実現させ、6.5人のサポートスタッフの削減に成功しました。

年間でみると1人あたり月間20万円かかっていたとすると、月間130万円、年間で1,600万円の削減になります。これが数年経てばそれだけのお金が節約されます。

人件費のみで換算しましたが、実際は6.5人分のオフィススペースの削減、応答待ちの顧客ストレスの減少など波及効果は高くなります。

こういったサービスの明確な改善事例は、データサイエンティスト活用の文脈で多くあります。Netflixのレコメンドエンジン、メルカリの出品カテゴリー自動仕分けなど様々です。これらによって顧客体験は向上し、売上及び利益が向上していることが明確になっているからこそ、高い給与を払ってでもデータサイエンティストを確保しようとしているのです。

Web2におけるデータサイエンティストの平均給与

ここまでで、なぜデータサイエンティストの給与が上がっているのかをまとめました。この記事のメインであるWeb3のデータサイエンティストの給与水準について議論する前に、Web2の、いわゆる今のデータサイエンティストの給与水準をまとめていきます。世界中で高まっているデータサイエンティストへの需要から、その給与水準は高くなっています。

日本の給与水準は?

最も身近な日本の給与水準を見ていきます。

PayScaleというサービスが提供しているデータを元に見ると、日本データサイエンティストの平均値は「523万円」となっています。国税庁の発表によると、正規雇用の日本人の平均年収は469万円なので、それに比べると50万円以上高いことがわかります。

一つの側面から議論するのは信用に至らないので、もう一つ紹介します。大手リクルーティングサイトGlassdoorの発表によるとデータサイエンティストの平均年収は約800万円であると記載されています。

Glassdoorはこちら

PayScaleが発表しているデータに比べると300万円程度高い結果となっています。

これはサービスに対して求人を出していたり利用している人のレイヤーによって変わる部分があると推測されるので、平均値としてはPayScaleとGlassdoorの間ぐらいにあるのではないかと推測されます(雑な推定です)。

どちらにしろ、日本全体で見た平均年収に比べれば高い水準になります。ただ、この分野は残酷なほどに海外との格差がすごいです。アメリカのデータサイエンティストの給与水準を見ていきましょう。

アメリカの給与水準は?

アメリカの給与水準は日本に比べて高い状況です。

Indeedの平均によるとアメリカのデータサイエンティストの給与平均は$141,330/yearとなっており、日本円で年収1,900万円です。

Indeed

これはさすがに少し高い印象を持ってしまうので、他媒体でも確認してみましょう。PayScaleというサービスで確認すると、$97,579/yearであり、日本円に換算すると年収1,300万円程度ということになります。

求人をベースにした計算でこれは非常に高い水準であると考えられます。

このほかにもさまざまなプラットフォームで調べてみても、PayScaleが低い方であることがわかるため、最低でも1,300万円程度だと認識しておくのがいいのかもしれません。それにしてもアメリカのデータサイエンティストの水準は高いですね。

日本とアメリカでこれだけの違いがある状況は正直悲観的になってしまいます。しかし、これからのWeb3の世界では、データの非中央集権的な面が加速していくだけでなく、メタバースなどを通して国境が曖昧になっていくことが想像されます。

加えてDAO(Decentralized Autonomous Organization : 分散型自立組織)などでは、そもそも英語という共通言語を用いて仕事が分担されるので、国境ごとでこれだけ出ている差も感じる必要がなくなる未来も見えています。

Web3における給与水準は高いのか?

世界中で少しずつ需要が上がっているWeb3のデータサイエンティスト。Web2との給与の違いはどのように出ているのかを確認していきましょう。

今回は「Web3 Jobs」というWebサイトを参考に、給与水準を見ていきます。

こちらのメディアでは、募集要項や地域を元に不明瞭なWeb3界隈でのデータサイエンティストの急を見積もりをまとめています。 実際の募集要項を参照して見積もられているので、大きく外れていることはないと仮定した上でまとめていこうと思います。

(※実際の数字とは異なる可能性があります)

2022年7月21日時点での求人数は507件。世界中に会社があることから逆算すると非常に少ない求人数になっています。

Web3企業かつ、データサイエンティストを募集するだけのデータリテラシーとビジョンがないとなかなか難しいことを考えると、もしかしたら妥当なのかもしれません。

加えて、1年以上前の求人も存在していることから、リアルタイムで募集がかかっている企業はもっと少ないことが推測されます。

実際の求人とその予想をみてみましょう。

まずはウォレットで有名な「Metamask」のData Engineerの募集です。

オーストラリア法人で、CTOオフィスでの活動とかなりの高い期待値が見込まれていそうな求人となっています。

年収としては、$50K – $300Kと幅広く見積もられています。最低で600万円程度、高いと4,000万円程度と高額です。
これについては、オーストラリアの最低ライン以下のところから、上限まで降り出されているのでなんとも言えない状況です。

続いて仮想通貨では有名なRippleの求人を見ていきます。

募集内容はシニアデータサイエンティストです。通常のデータサイエンティストよりは高いレイヤーにあたります。

https://web3.career/senior-data-scientist-ripple/31282

アメリカカリフォルニアでの求人となっています。業務内容は比較的幅広く、社内のデータ分析とそれを用いた部署横断的な業務となっておりました。

ポジションも相まってか、給与水準は比較的高く、$130K – $160Kとなっています。日本円にすると1,600万円-2,100万円です。

シニアデータサイエンティストで、カリフォルニアであればむしろ低いくらいなのではないでしょうか。

Web3 Jobsに掲載のない求人もあるだろうと思い、Rippleのリクルーティングページを確認すると、データサイエンティストの求人が2件ありました。

https://boards.greenhouse.io/ripple

リクルートよりの作業が求められる求人や、RippleXという投資部門での求人も出ているようです。

これらの1,200万円程度の給与が見込まれる求人と想像できます。

これらを総合すると、Web3に特化したデータサイエンティストが現状高い給与水準ではない見積もりになっています。この背景には、Web3企業はあくまで現状「ベンチャー企業」的であるという点があると推測されます。

成熟していない市場に対して、高い期待度だけが先行している現状では給与水準も成熟しているWeb2に勝る状況にはならないという状況です。

国内にもあるWeb3のデータサイエンティスト需要

日本国内でのWeb3におけるデータサイエンティストの需要が出てきている状況が求人からも見えています。

ビットバンク株式会社という、暗号資産(仮想通貨)専業のスタートアップ企業での募集が出ています。
「ビットコインの技術で、世界中にあらゆる価値を流通させる」をMissionに暗号資産技術の応用によって、人々の生活にビットコインが浸透し普及することを目指している企業です。

業務内容は以下のような記載があります。

・機械学習や統計解析を駆使してプロダクト課題の解決を図る
・データの収集、クレンジング、分析
・データ分析チームのマネジメント

一般的にデータサイエンティストに求められている業務内容が記載されている印象です。

給与は月給 584,000 円 – 1,000,000円と幅広く設定されておりますが、ベースラインが高いことはここからも伺えます。Web3のデータサイエンティスト人材がいないことが、このような数字をもたらしているのでしょう。

年収に換算すると700万-1,200万円です。アメリカの水準に比べるとやはり低いですが、国内でもこのようなデータサイエンティスト需要がどんどん出てくるといいですね。

Web3で求められるデータサイエンティストのスキルとは?

いくつかの募集を元に、求められるスキルを見ていきましょう。

RippleXの必要スキルは一般的?

まずはRippleXのデータサイエンティストです。リンクはコチラ

  • A degree in Math, Physics, Statistics, Finance/Economics, Computer Science, or similar STEM domain.
    • 数学、物理、統計、経済、コンピューターサイエンスなどのSTEM領域の学士号
  • 2-5 years in an Analytics/Data Science type role. Experience working with blockchain on-chain data a plus.
    • 2-5年以上のデータサイエンス・アナリティクス領域の経験。ブロックチェーンデータの利用経験があるとなお良い。
  • Expertise of SQL queries, ETL, and statistical analysis (e.g. regressions, time-series modeling) with statistical packages, such as Python or R. Experience with GraphQL a plus.
    • SQLクエリ、ELT及びRやPythoを用いた統計分析。GrapgQLを使えればなお良い。
  • Hands-on experience building dashboards with a data visualization tool such as Tableau, Looker, Data Studio, etc.
    • Tableau, Looker, Data Studioなどのデータビジュアリゼーションツールの経験
  • Ability to take ambiguous problems and solve them in a structured, hypothesis-driven, scientific way.
    • 未知の問題に対する解決策の考案
  • Passion to initiate and lead projects to completion in a fast paced, ever changing, start-up environment.
    • パッション

特に特別なことはなく、日本国内でも同様のレベルの募集が見られるので、そこまで特筆した技能が必要なわけではないことが見受けられます。

Metamaskの求めるレベルの高いデータサイエンティスト

続いてMetamaskのデータエンジニアについてです。こちらは上記のRippleXでの募集に比べると、厳しい条件が設けられている印象です。

  • 5+ years of work experience in an enterprise engineering domain
    • エンタープライズエンジニアリング領域での5年以上の実務経験
  • Excellent problem-solving skills and sharp attention to detail
    • 優れた問題解決能力と細部への鋭い注意力
  • Solid written and verbal communication skills
    • 文書および口頭でのコミュニケーション能力
  • Proficient in Python programming and well versed with popular frameworks like Pandas, Flask, Airflow, Apache Beam etc.
    • Pythonプログラミングに精通し、Pandas、Flask、Airflow、Apache Beamなどの一般的なフレームワークに精通していること。
  • Experience with any one cloud technologies i.e GCP, AWS or Azure (GCP preferred)
    • GCP、AWS、Azureなど、いずれかのクラウドテクノロジーの経験(GCPが望ましい)
  • Hands on experience with Cloud function, Big Query, DataFlow, Cloud Run, Airflow etc.
    • Cloud function、Big Query、DataFlow、Cloud Run、Airflowなどのハンズオンの経験。
  • Strong with Linux Commands and Shell Scripting
    • Linuxコマンドやシェルスクリプトに強い方
  • Experience with Docker & Kubernetes
    • DockerとKubernetesの使用経験
  • Experience building CI/CD pipelines
    • CI/CDパイプラインの構築経験
  • Knowledge of any one SCM tools like Git, BitBucket etc.
    • Git, BitBucket などのSCMツールの知識
  • Strong knowledge on Terraform scripting
    • Terraformスクリプトの知識
  • Strong skills with writing SQL
    • SQLを書く強いスキル
  • Enthusiasm for shipping high-quality code and helping peers do the same
    • 高品質なコードを出荷し、同僚が同じように出荷することを支援する熱意
  • Proactiveness and be self-driven to be successful working in a remote environment
    • 積極性とリモート環境での作業を成功させるための自己管理能力
  • Understanding of web development practices and terminology
    • ウェブ開発のプラクティスと専門用語の理解
  • Relevant knowledge of cloud security and data security
    • クラウドセキュリティとデータセキュリティに関する知識
  • A belief in our mission and values
    • 当社のミッションとバリューに対する信念

データエンジニアというデータサイエンティストの中でもインフラ構築よりだからこそ求められている知識が多い印象です。
逆に、ここまで細かく設定されていれば、応募者と会社側の認識齟齬が発生しにくく、プラスに働くのではないかと考えられます。

Web3というベンチャー領域だからこそ、1人に任せられるエンジニアリングの範囲が広くなってくるため、このような数多くの条件が並んでいることと考えられます。

まとめ

今回はWeb3業界の求人を、給与と求められるスキルを中心にまとめました。データサイエンティストは21世紀最もセクシーな仕事と言われるほど注目の職業です。Web2でも需要に対する人材が不足している状況に対して、Web3の波が来ている状況は、データサイエンティストの生き残り戦略に大きな影響を与えると思われます。

今後上昇してくるであろうWeb3におけるデータサイエンティストの需要に見合った知識と活躍のきっかけを作り出せるようにしていきたいと思います。

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