MakerDAOの内情をデータ分析で丸裸に?ステーブルコインの裏もweb3なら全て見える

今回はweb3で資本主義に一石を投じる分散型組織DAOの中でも、ステーブルコインDaiを分散的に運営する組織をデータ分析で丸裸にしていきます。

Dune Analyticsという分析プラットフォームのダッシュボードを利用して、
ブロックチェーン上のデータを分析することでどのような側面が見えるのか?Web2の組織や会社とweb3を代表するDAOは何が違うのかを明示的に考察していきます。

今回のデータ分析はDune Analyticsを利用しての分析のため、使い方が気になる方には是非こちらも参考にしていただきたい。

このように既存ダッシュボードを参考に考察をしていく企画として、NFTマーケットプレイスの特集も行っているので、是非そちらも読んでいただきたい。

はじめに

DAOはDecentralized Autonomous Organizationの略称であり、日本語訳すると「分散型自律組織」。ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織のことです。

その中でもステーブルコインDaiの発行を行うMakerDAOの運営データを分析したダッシュボードを紹介します。

https://dune.com/SebVentures/maker—accounting_1

MakerDAOは、起業家Rune Christensen氏が2014年に始めたプロジェクトで、暗号通貨を担保としてスマートコントラクトベースで米ドルにペグされたステーブルコインDai(1DAI≒1USD)を発行する組織です。

資本主義に対するアンチテーゼ的な側面でも注目をされているDAO。次世代の会社という位置付けて注目をしたとき、注目すべき指標を2点ここでは見ていきます。

損益通算が丸見え?web2ではあり得ない世界をデータで

会社の収益構造の全体を把握することができるこちら!
ブロックチェーン上で全ての取引が記録されている関係から、収入と支出を外部からも把握することができます。

このように、財務状況をざっくりでも外からすぐに見れるのは、透明性はDAOの最も重要な点と言ってもいいと思います。

例えば現代の一般的な上場会社であれば、決算のタイミングなどで公開されるものです。その結果を見て、投資家たちは今後の動きに意見を述べ、会社はその説明をするというのが通例です。しかし、株主総会などまでその内情を把握できないのは、いささか不安が残ります。

一方DAOでは、全ての取引がそのDAOのブロックチェーン上で管理されているため、今回ダッシュボードで見ているように、いつでも誰でも金銭的な内情を把握することが可能です。

支出なども一定あることがわかりますが、どことどのような取引をするかも、ガバナンストークンと呼ばれる投票権のようなものを利用して、投票によって決定されます。自分達の組織(DAO)が、どういう経済状況で、どういう意思決定の上に事業が進んでいくのかを自分達で決めることができるのが、web3における組織「DAO」です。

上に示したグラフを見ると、ここ数ヶ月は赤字や収支がトントンである様子が見てとれます。

特に直近ではLiquidation Incomeの割合が大きくなっています。

これは日本語にすると清算所得です。
MakerDAOにおける本指標について解説は、公式Documentに記載がありました。

簡単にいえば、MakersDAOが作った分散型ステーブルコインDaiを生成するために、ユーザは担保と引き換えにDaiを生成することができ、その担保を回収するためには自身が生成したDaiを返済または全額返却するなどのステップを踏む必要があり、その返却されたDaiが収入として計上される仕組みということです。

(憶測も含みますが)データを見る限りこの数ヶ月の利益の現象を見て、自身の担保を回収するユーザが一定現れていると理解できるのではないでしょうか。

trading incomeの発生が大幅に減少している状況を見るに、仮想通貨やNFTトランザクションの減少によって資産価値が目減りしていることから、キャピタルゲインが減っていることが原因なのではないか、という推測もできる(あくまで推測であるが)。

組織の実験を持つのは誰だ?ガバナンストークンの保有率を分析

ダッシュボードの中で注目な2点目は、DAO内での発言力を表すガバナンストークンの保有率です。
下のグラフは、ガナバンストークンの保有者ごとの保有数の時系列の変化を表しています。

前述の通り、DAOにおけるガバナンストークンは、DAO内での発言権です。
その保有状態もブロックチェーン上にのり、そのデータは外から確認できる状況になっています。

グラフを見ると、ここ数ヶ月での保有者の変化が見て取れます。

昨年初旬まではothersに分類されているユーザが多い状況が見受けられます。これはMakerDAOに関わるここのユーザの割合が多かった(組織での大きな保有ではないという意味)と推測されます。

その一方で、新年を迎えてからは企業などの名前も並ぶようになっているようになり、状況が大きく変化していることがわかります。

分析プラットフォームとしてこのFungible Analystでも紹介したFlipside Cryptoも5%程度の保有率を持っていることがわかります。

他組織の保有率が高まったのは6月頃であることがわかります。これはNFTのデータからもわかるように、web3業界全体が一時の熱狂的な流れが落ち着いたタイミングと一致します。

個人の動きとしては一時的に価値が下がったものを手放す傾向にあったことが推測され、そこに対してこの先伸びるであろう分野への投資がスタートしたとも見ることができます。

ガバナンストークンの保有率についても、このように外部から把握できる点は、パブリックチェーンとなっているDAOならではです。

おわりに

本記事ではDune AnalyticsのMakerDAO関連の必見ダッシュボードをベースに、DAOの情報がどこまで取れるか、そこからどのような示唆が得られるかをまとめました。

様々なDAOが誕生している中で、これだけ情報が整理されているものも少なく、他のDAOに比べて一定の信用がMakersDAOにはあるという印象を持ちました。

基本は無料で使うことができるDune Analytics。
SQLの素養があれば自分で見たいデータを分析することもできますし、そうでなくても本記事のようにダッシュボードを見るだけで状況把握ができます。

このように各サービスの現状を、外部からも確認することができるのがweb3であり、ブロックチェーンの恩恵ともいえます。自ら知りたいデータを取りに行けるスキルを身につけるのはいかがでしょうか?

今回利用したDune Analyticsの使用方法も紹介していますので、是非覗いてみてください。

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