本記事ではオンチェーン分析プラットフォームであるGlassnodeについて紹介し、分析の始め方や各種サービスについて解説します。
ここ数年で暗号資産やNFTなどの言葉を聞く機会が増えてきたのではないでしょうか。これらのサービスでは個人間の取引を基本とし、誰もがいつでも自由に売り買いできる仕組みが実現されています。ここで使用される技術がブロックチェーンであり、我々の取引は全てブロックチェーン上に記録されています。オンチェーン分析では、ブロックチェーン上に記録された取引データからデータ分析によってインサイトを得ることを目指します。
オンチェーン分析プラットフォームについてはこちらの記事でまとめています。
それでは、暗号資産取引データや分析ツールを提供するGlassnodeについて紹介していこうと思います。
Glassnodeとは
Glassnodeとは、暗号資産市場における投資取引の意思決定をサポートするためのデータ・分析ツール・教育コンテンツなどを提供するプラットフォームです。
2018年に設立したスイスのglassnode社によって運営されており、大量の異なるデータソースを集約・視覚化するデータ分析ツールを提供し、ブロックチェーンや暗号業界全体の活動に関する分かりやすく実用的で様々な洞察を提供しています。
料金プラン
Glassnodeのプラットフォーム利用は基本的に無料ですが、高頻度のアクセスや粒度の細かいデータを確認するためには有料メンバーになる必要があります。個人の使用では無料のStandartプランで十分です。
Glassnodeの主なサービスは分析ツールを提供するGlassnode Studio、専門家による分析結果や洞察を提供するGlassnode Insight、オンチェーン分析のための教育コンテンツを提供する Glassnode Academyがあります。
以下ではこれら3つのサービスの詳細について解説していきます。
利用可能なトークン
Glassnode Studioで利用可能なトークンは以下となります。
主要な暗号資産はビットコイン・イーサリアム・ライトコインの3つです。NFT取引で人気のあるSolanaや分散型アプリケーション(dApp)構築で有名なAvalancheなどには対応していない点は残念です。暗号資産取引に関するメトリクスの分析が中心となりそうですね。
また、10種類のステーブルコインが利用可能です。ステーブルコインとは価格変動(ボラティリティ)の少ない通貨を指しており、価格が安定している点が特徴です。法定通貨を担保としているUSDT(1USDT=1米国ドル)や暗号資産を担保としているDAIなどがあります。
その他、投資取引で利用されるDeFiトークンやイーサリアムブロックチェーンと互換性のあるERC-20トークンなどのメトリクスが利用可能です。
Glassnode Studio
Glassnode Studioはプラットフォーム内の中心的なサービスであり、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産取引データと分析ツールが使用できます。
「市場でどれだけのユーザーが取引を行なっているのか?」「各取引所に流入する暗号資産の量はどのくらいか?」「新たにいくら暗号資産が発行されているのか?」など、通常のトレーディングビューでは取得できないデータを確認できます。
Glassnode Studioの実際のインターフェースを見てみます。上図はビットコイン取引のアクティブアドレス(オレンジ)と価格(黒)の推移をチャート機能を使って表示しました。このように複数のメトリクスの表示や対数変換などのスケール変更が簡単にできます。
ここからはGlassnode Studioで利用できる分析機能をみていきましょう。詳細は公式ドキュメントで確認できます。
Charts
Charts(チャート)はGlassnode Studioの中心的なサービスです。日々増加するオンチェーンデータに対して様々なメトリクスを可視化し、投資取引に関する実用的な洞察を得ることができます。
Workbench
Workbench(ワークベンチ)では独自のグラフを作成することができます。複数メトリクスの比較や、関数や数式によるデータの変換が可能です。
Dashboards
Dashboards(ダッシュボード)ではチャートやワークベンチで作成したグラフを整理する場所で、独自のカスタムビューが作成できます。さらに画像やビデオを追加することでより充実したダッシュボードの作成が可能です。
TradingView
TradingView(トレーディングビュー)ではお気に入りのチャートを使用し、より実用的な可視化機能を提要します。TradingViewの統合によって投資取引の意思決定をサポートする便利な機能をGlassnodeの様々なメトリクスに適用できます。
Alerts
Alerts(アラート)ではお気に入りの指標に対してアラートを作成し、変動に対してトリガーがかかるとメールやSNSに通知することができます。重要なタイミングを逃すことを防ぐことができます。
Pulses
Pulses(パルス)は主要なオンチェーンメトリクスの現在の状態を素早く確認することができます。個々のチャート分析に入る前に暗号市場の全体動向を捉えることができます。
Glassnode Insights
Glassnode Insightは暗号市場における最新の動向やアナリストによる分析レポートを提供するサービスです。
週次で公開されるニュースレーター(The Week Onchain Newsletter)やブロックチェーンの市場構造とネットワークに関する市場分析と最先端の研究成果をなどを発信しています。グローバルな経済メディアであるBloombergや暗号市場のニュースメディアであるCoindeskなどではGlassnode Insightの内容が取り上げられています。
Glassnode Academy
Glassnode Academyはオンチェーン分析のための教育リソースを無料で提供しています。各種のメトリクスの解説や、アクティブアドレスや流入量といった複雑な指標まで、オンチェーンに関する知識を獲得できます。
Glassnode Academyの内容は実際のアナリストが長い時間をかけて開発したものであり、チュートリアル形式となっているのため体型立てて学習することができます。初学者の方はここから始めてみるのもいいかもしれません。
まとめ
今回はオンチェーン分析プラットフォームであるGlassnodeについて紹介しました。
- Glassnode Studioによる分析
- Glassnode Insightによる情報収集
- Glassnode Academyによる学習
以上の3つのサービスが基本的に無料で利用できるのは嬉しいですね。ぜひご自身の暗号資産取引や市場調査に活かしてみてはいかがでしょうか。
本メディアでは、現役のデータサイエンティストがWeb3時代におけるデータサイエンスについて情報を発信しています。最後までお読みいただきありがとうございます。
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