オンチェーン分析プラットフォームFootprint Analyticsの使い方について解説したいと思います。
本記事を読むことで、Footprint Analyticsのプラットフォーム上でデータの取得・加工・グラフ作成・ダッシュボード作成の一連の分析フローの方法について知ることができます。Footprint Analyticsは簡単な操作で分析ができるため、オンチェーン分析が初心者の方に特におすすめです。
Footprint Analyicsとは
Footprint Analyicsは、ブロックチェーン上のあらゆるトランザクションデータを可視化するための、オンチェーン分析プラットフォームです。ユーザーはドラッグ&ドロップの簡単な操作で分析ができるため、データサイエンティストやアナリストに限らず誰もが直感的にオンチェーン分析が始められます。
Footprint Analyicsは2021年にシンガポールで設立されたスタートアップ企業であり、2022年のシードラウンドで合計415万ドルの資金調達に成功しています。順調な資金調達によって利用可能なブロックチェーンネットワークやプロトコルが拡大されており、今後も成長が期待されている注目の分析プラットフォームです。
主なサービスはチャートとダッシュボードです。
チャートでは、複数のグラフの中からワンクリックでチャートを作成できます。SQLなどのプログラミング言語を使用せずにオンチェーンデータの取得・集約が可能です。
ダッシュボードでは、複数のチャートやデータの集計結果を1つのダッシュボードにまとめることができます。カテゴリごとに分析結果をまとめて情報を整理することで、データの理解や新たな洞察が得られるかもしれません。また、他のユーザーが作成したダッシュボードの確認や、自身のダッシュボードをシェアすることもできます。
ユーザー登録
Footprint Analyticsのプラットフォームは無料で利用できます。
アカウントを作成していない方はユーザー登録から始めましょう。
トップページの「Sign in」をクリックし、メールアドレスと任意のパスワードで登録してください。
次回からは登録した情報をもとにログインできます。
ダッシュボードを探索しよう
Footprint Analyticsのプラットフォームでは、他のユーザーが作成したダッシュボードにアクセスすることができます。分析を始める前に既に似たような分析をしているダッシュボードがないか確認するといいでしょう。
例として、ブロックチェーンの1つであるAvalancheのトランザクションの概要をまとめたダッシュボードを見てみましょう。1段目はAvalancheのロゴとタイトルです。
2段目は直近7日間、直近30日間、全期間のトランザクションの合計です。
3段目以降は各メトリクスの集計結果をチャートや値として示しています。
このように複数のチャートをダッシュボードでまとめることができます。
また、常に最新の状態に更新されるようになっているため、更新のために分析をやり直す必要はありません。
チャートを作成しよう
ここからはチャート機能の利用方法について説明します。
Footprint Analyticsでは2つの方法でオンチェーン分析が可能です。
1つ目はドラッグ&ドロップの操作のみでデータの選択や集計を行う方法です。分析するブロックチェーンの選択や注目するメトリクスを視覚的に選択できるため簡単にオンチェーン分析が始められます。こちらは初級者向けのサービスです。
2つ目はSQLクエリを記述しながらデータの選択や集計を行う方法です。SQLと呼ばれるプログラミング言語を使用する必要があるため、上級者向けのサービスです。複雑な計算や独自のテーブルを使用した分析が可能なため、より高いレベルの分析を行うことができます。
今回は1つ目のドラッグ&ドロップの操作のみで分析するサービスについて解説します。
「New Chart」をクリックして始めましょう。
例として「分散型取引所で最も人気のあるUniswapにおけるEthereumのTVL」を可視化してみましょう!!
- 分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)
ユーザー間での暗号資産取引を調整するブロックチェーンベースのアプリケーション - TVL:Total value locked
どれだけの仮想通貨が預けられているかを示す指標
1. テーブル選択
はじめにデータ抽出元となるテーブルを選択します。
今回はDEXのデータを使用するためNFTドメインの「defi_protocol_daily_stats」を使用します。
このテーブルは、異なるDeFiプラットフォームのTVLやボリュームなどの日次データを分析することができます。
また、テーブル名は以下の命名規則に従っています。
_info:Footprint が保持する基本情報テーブルであり、データ連携のハブとして使用します。
_daily_stats:1日単位に集約されたデータであり、Footprintで扱う最小単位のデータです。
_token_transfers:オンチェーントークンのフロー履歴データです。
_transactions:オンチェーン上のトランザクションデータであり、一意に決まるハッシュ値を保持します。
_deprecated:既に使用されていないテーブルです。(非推奨)
2. データの加工
次に指定したテーブルから目的のデータを抽出します。
ページ右上の「Advanced」で他テーブルとの結合やデータのフィルタリングができます。
フィルタリング
「UniswapのEthereumのTVL」について知りたいため、以下の条件をFilterに指定します。
- Protocol Name = [Uniswap, Uniswap v2, Uniswap v3]
- Chain = [Ethereum]
データ集約
Uniswapはバージョンがv1からv3まであるため、今回は月ごとのTVL合計値と累積和をSummerizeで集約します。
- 集約対象=[Sum of Tvl, Cumulative sum of Tvl]
- 集約方法 = [on Date: Month]
集約では平均値、最大値、最小値、累積値などを算出できます。
その他「Sort」でデータのソートや「Custom column」で任意の関数を適用させることができます。
3. グラフの作成
データを可視化します。
Advancedページ下の「Visualize」か編集ページ右上の「Visualization」で抽出・加工したデータからグラフ作成できます。
下記のように様々な種類のグラフを選択できます。
今回はエリアチャートを使用することにします。また、Settingでグラフの編集を行い、最終的に完成したグラフがこちらです。各月のTVLの値とTVLの累積和を可視化しました。最後に右上の「Save」でグラフを保存します。
グラフからは2021年12月をピークにUniswapにおけるEthereumのTVLの増加は減少傾向にあるとわかりますね。最近は、MakerDAOやSushiSwapなどの競合が台頭してきている点や、暗号資産市場全体の冷え込みによる影響があるのかもしれません。
ダッシュボードを作成しよう
最後にダッシュボードを作成してみましょう。
ダッシュボードでは自身が作成したチャートの他に説明などをテキストで追加や、画像や動画のアップロードが可能です。作成はホーム画面の「Create」から「New Dashboard」を選択して始めます。
「Add Chart」を選択すると、既に作成したチャートの一覧が表示されるため、ダッシュボードに追加したいチャートを選択してください。各コンテンツの配置やサイズを調整することで簡単にダッシュボードを作成できます。最後に「Save」をクリックして保存すれば完成です。
ダッシュボードのリンクを作成すればSNSなどで共有することも可能ですね。
まとめ
今回はオンチェーン分析プラットフォームのFootprint Analyticsについて紹介しました。
チャートやダッシュボード作成がドラッグ&ドロップの簡単な操作でできることが分かったのではないでしょうか。類似サービスにSQLを使用しオンチェーン分析を行うDuneというプラットフォームがありますが、直感的に操作できる点に関してはFootprint Analyicsがお勧めです。
Duneについては以下の記事で紹介しています。
今後もおすすめのダッシュボードやその他の機能についてもどんどん紹介していきたいと思います。
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