今回は世界中で話題をさらったmove-to-earnと言えばのSTEPNの盛衰を、データ分析から見て考察していきます。
NFTマーケットプレイスの記事でも紹介したように、NFTの盛り上がりは一旦ブームを過ぎ、その本質を見定める流れがやってきています。NFTをベースにサービスが展開されていたSTEPNもその影響を受けていることがデータからよくわかります。
STEPNのサービスが現在どういう状況なのか?SNSやメディアで「終わった」と表現されるSTEPNの現状をデータで見ていきましょう。他人の主観や感覚に頼った意見ではなく、web3なのですから、オープンになっているデータから議論しましょう。
Duneのダッシュボードの解釈記事については以下も参考にしてみてください
はじめに
本記事ではMove2Earnで世界中を魅了したものの、今ではサービスの終焉の雰囲気すらあるSTEPNのデータを、Dune Analyticsというブロックチェーン分析プラットフォームを利用して「データ」で見ていきます。web3サービスとして一気に注目を集めたSTEPNもブロックチェーン上でさまざまなデータをDuneのダッシュボードで確認できます。
https://dune.com/nguyentoan/STEPN-(GMT-GST)-Core-Metrics
世界中が注目していたMove2Earnサービス「STEPN」。中国の規制やビジネスモデルなど様々な指摘がされる中で、サービスのユーザ数が一気に冷え込んだと言われています。
それらがどのように変化しているのか、データで確認することでその「崩壊の軌跡」をデータで追うことができます。
STEPNは最初、SOLANA上で作成されました。その後バイナンスでのサービス展開も始まり、ユーザーは2分していったため、ダッシュボードでカバーできるのは純粋な全体の数字ではありません。DuneではSOLANAの分析が可能なため、この面からデータを見ていくことにします。
ここでは大きく3つの指標に注目していきます。
日毎のユーザは?【DAU:Daily Active Users】
まずwebサービスを見る時の指標としてはDaily Active User(DAU)が最も適しているので、そこからチェックしていきましょう。こちらは日毎の利用者です。
STEPMが日々どれだけ利用されているかを見ることができるのが、以下のDAUの時系列変化のグラフです。こちらでは既存ユーザーと新規ユーザーを色分けして表現されています。
これを見ると、DAUは5月頭にピークを迎えています。簡潔に言えば、ここがサービス利用のピークであったと言えます。既存ユーザーもこぞってアクセスしています。
ここで注目なのは、新規ユーザーと既存ユーザーの数値のピーク位置の違いです。
新規ユーザーの流入数のピークは2022年4月-5月あたりになっている様子が見受けられます。その一方で、登録済みのExistingユーザーのピークは2022年5月-6月あたりです。
これは、新規ユーザーがガツっと入ってきて、そこから1,2ヶ月でサービスを利用し、雲行きが怪しくなり2022年6月7月でグッとユーザーが下がっているという状況です。
加えて、2022年8月以降の新規ユーザー増加はグラフ上ではほとんど見えていないということは、新規ユーザーが入ってきていることはなく、現在アクティブに動いているのは、Existingユーザーだけと言ってもいいでしょう。
ここに登録日からの経過日数などで色分けしていくと面白い傾向が見えるかもしれません。ピーク時に購入したスニーカーの原資を回収したい人たちが多いんじゃないかなと推測しています。
スニーカーのミント数は?
ここではスニーカーのミント数をみていきます。ミントとは、簡単に言えばNFTを新たに作り出す行為です。
STEPNでいうミントとは、スニーカーNFTを購入・発行する、というイメージです。上記のグラフではその発行数を日毎のデータでみています。
6月には多い日で1万件/日を超えるスニーカーのミントがあった一方で、9月には500件程度になっています。2022年初頭はSNSでも「稼げる」というメディアでの触れ込みもあり、ミントがされまくっていましたが、そこから比較すると20分の1程度です。
STEPN内でスニーカーがミントされ、その原資を歩くことで回収していくことに注目されていた中で、新たにミントされない状況の中でサービスが拡大していくことは数字から見ると難しい状況になっていることが考えられます。
このミント数のデータをリアルタイムで見ながら、サービスの展開を予測できた可能性は十分にあります。2022年頭から「あれ?怪しい?」という噂は流れていたが、実際に「本当に今やばいのか?」と半信半疑の人が多かったかと思います。
データが全て解放されているからこそ、これまでの感覚依存のサービスへの没入とは別の視点を持つ必要がありそうです
新規課金ユーザーはもういない!?
上記はデポジットした(≒課金)ユーザ数のこれまでの累計を時系列データとして示しています。このデータを見ると、2022年3月あたりを境に、一気にそのユーザ数が増加していることがわかります。
ほとんど跳ねていない中で5月にサービスの伸びが一気に加速している様子は、シリコンバレーなどの企業によくあるブリッツスケーリングの様相を呈していると言えます。これはマーケットにフィットしたサービスが、一気に拡散して行ったことを示しています。
しかしそこから順調に伸びることはなく、100万人程度でサチュレーション(飽和)を引き起こしていることがみて取れます。この数字の実態は、新規デポジットユーザーが増加していないことを示しています。
一般的なNFTアートも同様ですが、需要がなければその後のバリューも出ません。つまり、デポジットユーザーが増加していないということは、購入したスニーカーのバリューが出面状況がになっているということです。
これは「move to earn」という最終的に稼ぐという目線から見ると、厳しい状況になっていると言えるのではないでしょうか。
おわりに
本記事ではDune Analyticsの必見ダッシュボードをベースに、STEPNの盛衰の様子や、現状を紹介しました。
これらはあくまで分析が見せてくれる1面です。他の分析角度も必ずあります。
基本無料で使うことが可能で、SQLの素養があれば自分で見たいデータを分析することもできます。一方でSQLがわからなくても、本記事のようにダッシュボードを見ることで世の中の状況を把握することができます。
このように各サービスの現状を、外部からも確認することができるのがweb3であり、ブロックチェーンの恩恵ともいえます。自ら知りたいデータを取りに行けるスキルを身につけるのはいかがでしょうか?
以下でDuneの使い方を解説してますので、参考にしてください。
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