OpenSea1人勝ちの時代は終わり?データでみるNFTマーケットプレイスの盛衰【Dune Analytics】

今回はOpenSeaに代表されるNFTマーケットプレイスと、NFTプロジェクトの裏に隠れるブロックチェーンデータを分析し、その実態を解明していきます。

2022年5月をピークにweb3への過剰な期待が落ち着き、仮想通貨やNFTアートの取引量がガクッと落ち込んでいます。ピーク時にはどのような状況だったのか、そこから半年程度経ってどのように変化して行ったのかを、感覚ベースではなく「データ」で見ていくことがこの記事の目的です。

はじめに

本記事ではOpenSeaを中心とするNFTマーケットプレイスの比較や盛衰を、Dune Analyticsというブロックチェーン分析プラットフォームを利用して「データ」で見ていきます。本記事ではNFT取引に関するDune上に公開されているダッシュボードをベースに話を進めていきます。

ここでいうダッシュボードとは、様々な指標で行った分析をまとめた掲示板のようなものです。ブロックチェーンのトランザクション量や、取引額など様々な指標がまとまっています。

今回利用するDune Analyticsはアメリカのブロックチェーンデータ分析プラットフォームです。80億円近い資金調達も行い、最も注目されている分析プラットフォームの一つです。SQLというツール(アナリストやマーケッターなどは一般的に記述できるもの)を用いることで、誰でも簡単にブロックチェーンの分析ができるものです。基本サービスは無料で利用することができます。

ユーザ登録から利用方法に至るまでは以下の記事にまとめてありますので、確認してみてください。

ユーザーはプラットフォーム上でSQLのクエリを書き、その結果を確認することができるだけでなく、自らの分析結果を組み合わせた分析ダッシュボードを構築することができます。これによって、自分達が確認するべきデータや、KPIなどを把握することもできます。

他のユーザーが作成したダッシュボードでビジネスインサイトを得ることも可能なので、SQLが書けない方でも利用が可能です。

今人気のNFTプロジェクトは何!?

本記事では、web3に興味を持つ誰しもが知っているNFTのマーケットプレイスのデータがまとまっているダッシュボードを見ていきます。

https://dune.com/hildobby/NFTs

web3のブーム的な流れは、やはりNFTアートからと言って過言ではありません。

それらの取引が行われるのがここで注目するNFTマーケットプレイスです。代表的なOpenSeaはNFT好きだけでなく、比較的知られているのではないでしょうか。

やはりデータを見ると、OpenSeaが他マーケットプレイスと比較して、いかに市場を掴んでいるかが理解できます。しかしその一方で、NFTの売買そのものの盛り上がりは現在では落ち着いている状況も見てとれます。これらをダッシュボードのデータから見ていきましょう!

(ここで確認するダッシュボードの作成者はhilldobbyというユーザです。https://dune.com/hildobby

まずはNFT プロジェクト毎の取引量ランキングをみていきます。以下がそのランキングです。

09/20現在ではMeebitsが1位となり、それにTeraformsやCryptoPunksなどが続く形となっています。

(ここでTerraformsは2, 3位となっているが、NFT contractなど他情報を考慮すると同一データである可能性あり)

NFTアートにはいくつもの人気プロジェクトがある中で、このように数字で見ると人気の差は一目瞭然です。こう言った数値をみながら、今最も人気のあるプロジェクトを見極めることができることも、ブロックチェーン上でデータがパブリックになっているweb3の素晴らしい一面です。

NFTの取引額が一気に落ち込んだ2022年5月

NFTアートの取引額が、一時期に比べると落ち着いていることも数字から明らかになります。以下はNFTアートの取引額をアメリカドルで表示したものです。

図の右に行くほど新しいデータとなっていて、直近3ヶ月は5月以前に比べると非常に低い取引額となっていることが見てとれます。

5月のテラUSD(ステーブルコイン)の価値の崩壊に伴い、暗号資産及びその周辺資産の価値への安心感が失われた状況が数字に表れている状況と推測されます。

マーケットプレイスはOpenSea一強ではない!?

一方で、NFTマーケットプレイスの勢力図の変化もデータとして可視化されます。

NFTマーケットプレイスといえばOpenSeaであり、認知度が最も高い媒体です。

しかし、その状況をデータで見てみると、違う側面も見えてきます。

2022年に入ってからの半年間、LooksRareが市場の中で存在感を強めていることがわかります。1月から2月にかけては、Openseaの取引額を超え、世界一のマーケットプレイスの座をとっています。

そもそもLooksRareは2022年1月にローンチし、マーケットプレイス利用の手数料がOpenSeaに比べて低いことや、OpenSeaにはない独自トークンLOOKSが存在することもあり、話題を引っ張ったのではないかと考えられます。

その後はNFTの取引量の減少と共に存在感が下がっているものの、NFTマーケットプレイスとしては2番手をキープしています。たしかに話題には上がっていたLooksRareですが、データを見るとその注目度と利用のされ方が明らかになるのは、やはりブロックチェーン上でパブリックにサービスが展開されているおかげです。

OpenSeaとLooksRareの数字の遷移については、他分析者も注目をしており、この2者に特化した比較ダッシュボードも公開されていますので、覗いてみることをお勧めします。

https://dune.com/hildobby/LooksRare-VS-OpenSea

金額だけでは足りない?トランザクションからみるNFT

続いては、NFT商品のトランザクションの遷移です。

価格だけで議論をしていても取引実態は見えてきません。どれだけ活発に取引されているか?という側面は非常に重要です。

取引額が引き上がっていた状況と同様に、2022年に入ってすぐは活発な取引が行われていたことが見て取れます。

3月から6月の取引量も、2022年はじめと同等に見えます。その一方で、2つ上のグラフで見る取引額は、2022年はじめと同額ではなく、少し低くなっています。これらから、1トランザクションあたりの取引額が3月-6月は低かったことが推定されます。

その背景には、やはり仮想通貨への不信感などが高まり、投資商材的な意味合いが強かったNFT作品の価値が一定下がってしまったことに加え、売りが先行したのではないかと考えられます。

このように複数の角度からデータを見ることで、何回に思えていたweb3サービスの実態が少しずつ見えてきませんか?

おわりに

本記事ではDune Analyticsの必見ダッシュボードをベースに、NFTの盛衰の様子や、現状を紹介しました。

これらはあくまで分析が見せてくれる1面です。他の分析角度も必ずあるし、自分が興味のあるNFTマーケットプレイスに特化したデータをみることもできます。

基本無料で使うことが可能で、SQLの素養があれば自分で見たいデータを分析することもできます。一方でSQLがわからなくても、本記事のようにダッシュボードを見ることで世の中の状況を把握することができます。

このように各サービスの現状を、外部からも確認することができるのがweb3であり、ブロックチェーンの恩恵ともいえます。自ら知りたいデータを取りに行けるスキルを身につけるのはいかがでしょうか?

Dune Analyticsの使用方法は他記事で紹介していますので、是非覗いてみてください。

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