この記事ではブロックチェーンデータの分析プラットフォームの1つであるFlipside Cryptoの概要と使い方について紹介します。その他の分析プラットフォームについては以下の記事でまとめていますので、読んでみてください。
暗号資産やNFTなどブロックチェーンを使用したサービスの流行とともに日々のトランザクションは指数関数的に増加しています。各ブロックチェーンコミュニティはオンチェーン上のユーザーがどのように行動し、次のタイミングで何が起こるのかを理解したいものの、大量のトランザクションデータから必要なインサイトを得ることは容易ではありません。
ブロックチェーン分析プラットフォームFlipside Cryptoでは、トランザクションの背後にあるインサイトを得るために、懸賞金付きのバウンティプログラムを用意し、一般のデータサイエンティストやアナリストに分析ツールとブロックチェーンデータを提供しています。
Flipside Cryptoとは
Flipside Cryptoは様々な暗号プロジェクトに対して、オンチェーン分析によって取得したインサイトを、コミュニティー内に共有することのできるブロックチェーン分析プラットフォームです。分析者はFlipside Cryptoのプラットフォーム上で提示される課題に対して、SQLクエリを使用したデータ分析とダッシュボード作成によって回答し、バウンティ(懸賞金)を得ることができます。分析者はバウンティのために質の高いデータ分析を行い、各暗号プロジェクトは成長のためのインサイトを迅速に得ることができる双方にメリットのある仕組みとなっています。
コンテンツ紹介
Flipside Cryptoには「バウンティで稼ぐ」、「データを探索する」、「コミュニティに参加する」の大きく3つのコンテンツが用意されており、全てのコンテンツを無料で使用することができます。以下ではそれぞれのコンテンツについて紹介します。
バウンティで稼ぐ
Flipside Cryptoの最大の特徴はオンチェーン分析によってバウンティ(懸賞金)を得られることでしょう。EthereumやSolanaなどの各種のブロックチェーンプロジェクトは、大量のトランザクションの中で何が起きているのかを知りたいものの、洞察を得るのは容易ではありません。そこで、各プロジェクトは懸賞金を用意し、彼らが必要としている情報に対してデータからインサイトを取得しダッシュボードを作成したした分析者に対して、暗号資産による懸賞金を支払っています。
Flipside Cryptoのプラットフォーム上では常時複数のバウンティが提示されており、誰もがブロックチェーンプロジェクトの課題に取り組むことができます。バウンティは課題の難易度に合わせてBeginner(初級)・ Intermediate(中級)・ Advances(上級)の3段階に区分されており、Intermediateの課題にチャレンジするためにはBeginnerのバウンティを3回以上クリアする必要があります。さらにAdvancesへのチャレンジは10回以上のバウンティの完了と2回以上のグランプリになる必要があります。最初はBeginnerのバウンティから取り組んでみましょう。
それでは実際にどのようなバウンティがあるのかを見てみましょう。本記事の執筆時点では、Beginner(初級)レベルで5つのバウンティが出ていました。内訳はEthereumが2つ、Polygonが1つ、Solanaが1つ、Flipsideが1つとなっており、懸賞金が付与されるバウンティはPolygonとなっています。
具体的にどのような課題がでているのでしょうか、Polygonのバウンティの内容をまとめます。
課題 | EthereumからPolygonへブリッジした人はどこに行くのか |
懸賞金 | 75 USDC(0%-150%評価によって変動) |
レベル | Beginner(初級) |
提出可能数 | 4 |
課題にあるブリッジとは、ある暗号資産を異なるブロックチェーンで利用するための切り替え作業のことです。ブロックチェーンブリッジによってEthereumからPolygonにやってきた人が、Polygonのブロックチェーン上で何をするのかを突き止めるというのが今回のテーマです。
今回の懸賞金は75USDCと設定されており、ステーブルコインであるUSDコインを得ることができます。また、提出物に対する採点結果によって得られる懸賞金の額が0%-150%の幅で決定されます。なお提出可能なダッシュボードは4つまでとなっています。
本課題に対するデータ分析によってインサイトが得られれば、Polygonのコミュニティーはブリッジしたユーザーに対して、ブロックチェーン上のサービスをレコメンドしたり、サービスの拡張といった意思決定ができるかもしれません。このように分析者はブロックチェーンプロジェクトが必要としている情報をデータ分析によって明らかにすることで、報酬を貰いながらプロジェクトへ貢献することができます。
データを探索する
ここからはブロックチェーンからどのようにデータ抽出・データ分析するのかについて、Flipside Cryptoのプラットフォームの使い方を見ていきましょう。主な特徴は以下です。
- 複数のブロックチェーンデータに無料でアクセスできる
- CSVまたは自動生成されたAPIエンドポイントでデータをエクスポートできる
- コーディングとグラフ作成を統合した分析ツールを使用しダッシュボードを共有できる
利用可能なブロックチェーン
Flipside Cryptoでは現在以下のブロックチェーンプロジェクトにアクセスできます。
Flow, Ethereum, Aave, Uniswap V3, Optimism, Arbitrum, Avalanche, Binance Smart Chain (BSC), Osmosis, Polygon, Solana, Algorand, THORChain, SushiSwap, Harmony, NEAR, Terra, Mirror, Anchor, Astroport, Terraswap, Tokenflow – Ethereum, Tokenflow – Starknet
アカウント作成
アカウントを持っていない人はこちらでアカウント作成を行なってください。
トップページ右上のSign Inからユーザー登録画面を表示します。ユーザーネーム、メールアドレス、パスワードを入力しContinueを押します。その後、自身のメールアドレス宛にアカウント確認用のリンクが送られてくるため、リンク先のページに移ることでアカウントをアクティブにします。また、上記のような画面が表示された場合は、Acceptを押してください。次回からはユーザー名とパスワードでログインが可能となります。
データ抽出
Flipside Cryptoのデータ分析は基本的なSQLの知識があれば十分です。クエリによるデータ選択・加工を行い、テーブル形式でデータをエクスポートすることができます。また、SQLに詳しくない人に対しては得られた分析結果を説明するというコンテンツバウンティもあるため、どのような人でもプラットフォームに参加することができます。
それでは実際のワークスペースを見てみましょう。上段にはSQLクエリを記述するためのコードブロックがあり、下段にはクエリの実行結果がテーブル形式で表示されます。ここではPolygonの過去1ヶ月のトランザクション数を1日ごとにカウントしています。テーブル定義の詳細は公式ドキュメントから確認できます。
グラフ作成
データが抽出できたらグラフを作成します。先ほどのクエリ実行結果の右側にあるNew Chartからグラフ作成用のページに移動します。グラフタイプは棒グラフや折れ線グラフなどの基本的なものから、時系列のアニメーショングラフなど高度なグラフが選択可能です。今回はエリアチャートでグラフを作成してみます。軸とラベルを設定し保存するだけで簡単に描画することができました。
ダッシュボード作成
最後にダッシュボードを作成します。グラフ編集画面上部のAdd to Dashboardから作成したグラフをダッシュボードに追加できます。その他、抽出したデータテーブルの追加やダッシュボードの説明が設定できます。公開したダッシュボードはこちらで確認できるのでみてみてください。
コミュニティに参加する
Flipside Cryptoでは、現在までで約6万人の分析者がバウンティプログラムに参加しており、ブロックチェーン分析プラットフォームとして日々成長しています。バウンティプログラムにおける分析上の課題を解決するための学習や、メンバー間のコラボレーションを可能とするために、Flipside Cryptoのコミュニティが作成されています。コミュニティはDiscord上で形成されており、誰でも自由に参加することができます。また、Twitterでは新着バウンティの情報が共有されるためチェックしておくといいでしょう。
分析して稼ごう
ここまでブロックチェーンデータ分析プラットフォーFlipsideCryptoの概要と使用方法について解説しました。分析して稼げるバウンティプロジェクトに興味が湧いたのではないでしょうか。また、バウンティ以外にも、さまざまなブロックチェーンの分析が可能であり、ダッシュボード作成まで簡単に実施できるのがわかったかと思います。
早速Flipside Cryptoのプラットフォーム上で、独自の切り口でデータ分析を行い、ダッシュボードを作成してみてはいかがでしょうか。新たな気づきや発見があるかもしれません。
今後も注目すべきバウンティプログラムや新機能の追加があった際は、こちらで情報を発信していきたいと思います。
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